なぜ中国向け越境ECにSNSが必要なのか?現地のEC事情

SNSは今や若者を中心に毎日の生活には欠かせないツールとなっていますが、ビジネスの世界においてもその利用価値は高まっています。特に中国ではSNSが情報媒体として大きな影響力を発揮しており、日本からの越境ECを展開する上でも無視できないサービスです。

今回は、なぜ中国向けに越境ECを展開する上で、SNSの活用が重要なのかについて、現地の事情も踏まえながらご紹介してきます。

中国における越境ECの市場規模

まずは、中国における越境ECの市場規模について確認しておきましょう。越境ECの規模は拡大傾向にあり、現地では幅広い分野で海外製品をECで購入している様子が見受けられます。

世界最大級のEC市場として君臨

経済産業省の発表によると、2019年時点での中国のEC史上全体の規模は 1兆 9,348 億USドル、日本円にして210兆円に到達しており、2位であるアメリカの5,869億ドルを遥かに凌ぐ額となっています。

参考:経済産業省「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる 国際経済調査事業」

日本のEC市場規模は1,154億ドルと、3位であるイギリスの1,419億ドルに次ぐ規模を有しているものの、中国とは20倍近い差を有していることから、その規模の大きさがわかると思います。

越境ECの取引額についても、中国は他国を圧倒しています。アメリカと日本、そして中国の3カ国間での越境EC取引は盛んに行われていますが、やはり特筆すべきが中国の取引額です。

日本の中国とアメリカからの購入額が3,175億円であるのに対し、中国の日本及びアメリカからの購入額は3兆6,652億円にのぼり、圧倒的な購買意欲の高さを発揮していることがわかります。

この取引額のうち、1.6兆円は日本からの輸出であるため、日本にとって中国は魅力的なマーケットであることも、ここでは明らかになっています。

次々と登場する越境EC向けサービス

また、中国では大きな消費がすでに生まれているのに加え、次々と越境ECに特化したサービスが登場しているのも特徴です。

元々中国では大手ECサイトが事業者向けのプラットフォームをそれぞれ提供してきたため、豊富な選択肢から消費者は好きなサイトや商品を選ぶことができました。近年は越境ECの需要拡大に伴い、各サイトからは越境EC専用のサービスも次々と登場し、ユーザーの確保を進めています。

中国最大のIT企業であるアリババグループは、天猫(T-mall)というECサイトで一世を風靡していますが、近年は天猫国際(T-mall Global)と呼ばれる越境ECに特化したサービスも展開し、日系企業も多く進出しています。

また、京東商城や網易考拉海購など、他の大手ECサイトも次々と越境ECサイトを立ち上げ、世界中から事業者を集い、巨大な越境EC市場を形成することとなりました。

中国の越境EC市場が注目を集める背景

このように、中国では急速な越境EC市場の拡大が進んでいますが、これにはどのような理由が背景にあるのでしょうか。ここでは主な2つの理由について、ご紹介します。

インターネットの普及が進んでいるため

一つ目の理由は、ECやインターネットの普及が現地では急速に進んでいるためです。中国におけるネット利用者の数は年々増加傾向にあり、2020年にはおよそ9.9億人の人々がインターネットを使っているという発表も出てきています。

参考:Statista “China: number of internet users 2020”

インターネット利用者が増えているのは、中国の経済状況がここ数年で大きく改善していることも背景に考えられます。これまでは都市部の人間に限られていたインターネットの利用やスマートデバイスの所有は、インフラ整備や安価で高性能なモデルの発売によって、所得が比較的低い傾向にある地方でも浸透しつつあります。

まだまだ中国のインフラ開拓やインターネットの普及の余地は残されており、今後もこれらの数字は伸びていくことが予想できます。つまり、越境EC市場においても伸び代はまだまだ存在するというわけです。

高い購買意欲を有しているため

二つ目の理由は、高い購買意欲を中国ユーザーは有しているという点です。中国の経済成長は緩やかになってきているとはいえ、まだまだ世界2位の経済大国であることには違いがありません。2020年は新型コロナウイルスの影響により、一時的に消費は減退したものの、「巣ごもり消費」と称してEC消費が活発になってきています。

日本に買い物に行けない分、日本企業の越境EC商品の購入も伸びているので、越境EC進出のチャンスは拡大していると考えられます。

中国向け越境ECにSNSが必要な理由

このように、中国の越境EC市場は前代未聞の成長を遂げている一方で、その恩恵を効果的に活用するのに不可欠と言われているのがSNSです。なぜ中国進出においてSNSの活用が欠かせないのか、その理由を見ていきましょう。

無数のユーザーがSNSを利用しているため

一つ目の理由は、中国におけるSNSユーザーの数の多さです。中国では現在およそ5.9億人を超えるSNSユーザーが存在すると考えられており、主要SNSのユーザー数はいずれも途方もない数に達しています。

参考:Go-Globe “Social Media In China – Statistics and Trends”

インターネット利用者の増加とともに、SNSの普及も以前に比べて一段と進み、今やSNSは中国における主要な情報媒体として広く認知されています。

効率よく販売促進を進められるため

多くのユーザーを有するSNSは、越境ECの販売促進にも効果的な役割を果たします。商品や各SNSに合わせたプロモーションを展開することで、ターゲットとなるユーザーに向けて的確な訴求力発揮できるだけでなく、短期間で多くの知名度を獲得できるためです。

SNSの利用自体は基本的に無料のため、マスメディアなどで広告を依頼するよりも、遥かにコストパフォーマンスに優れる方法でもあります。越境ECに進出する際には、実施しておいて損はない施策です。

競合との差別化につながるため

三つ目の理由は、競合との差別化です。中国は巨大なマーケットとして成長している分、すでに多くの競合もこの市場に参入しています。日本からの進出企業も少なくなく、今や「メイドインジャパン」だけではキャッチコピーとしては不十分なレベルにまで成長していると言えます。

そんな中、SNS運用を現地で積極的に展開することで、自社の独自性を存分に発揮し、ブランディングを進められます。一度SNS上で話題となることができれば、リピーターの獲得など継続的な売上が見込める環境を容易に構築できるでしょう。

競合との区別を明確にし、優位性をアピールすることで、効果的なターゲティングを実現可能です。

中国におけるSNSの特徴

続いては、中国におけるSNSの特徴についてご紹介します。現地ではどのようにしてSNSが活用されているのか、確認しておきましょう。

外国産のサービスは使えない

中国でのSNS運用においてまず気をつけておきたいのは、アメリカなどの外国で生まれたサービスは全て利用ができないという点です。

中国ではグレートファイアウォールと呼ばれる独自のネット検閲体制が敷かれており、国内から展開されているWebサービスしか利用することはできません。TwitterやFacebookといったお馴染みのSNSが使えないことはもちろん、Googleのような検索エンジンも利用不可であるため、現地向けの施策を改めて考える必要があります。

ある程度Webマーケティングには自信があるという方でも、中国向けに改めてマーケティング方法を考え直さなければいけないのが難点となるでしょう。

ライブコマースなどのEC向けフォーマットが充実している

中国では独自のネット文化が形成されており、中でもECとSNSの連携については世界でもトップクラスの進化を見せています。近年中国発で話題となり、世界中に伝播しているマーケティング手法がライブコマースです。

ライブコマースは、SNSにおけるライブ配信機能を活用したプロモーション施策で、SNSで影響力のあるインフルエンサーが、企業などから提供された商品の紹介を行ったり、レビューしたりすることで販売を促進する方法です。

インフルエンサーの最大の特徴は、独自のフォロワーを多数抱えていることです。インフルエンサーが紹介しているものに対して強烈な興味を抱いているため、インフルエンサーを通じて商品を紹介することで、多くの購入者を獲得できる仕組みです。

インフルエンサーのカリスマ性を生かし、自社でSNS発信するよりも短期間で効果を得られるということで、多くの企業が実践している方法です。

膨大な数のインフルエンサーが存在する

中国でライブコマースが定着しているのは、膨大なインフルエンサーが存在していることも背景にあるでしょう。日本でもライブコマースを実践する会社やインフルエンサーは少しずつ増えてきてはいるもの、日本の大衆文化として定着するには至っていません。これは、中国に比べてインフルエンサーの母数が少ないことが要因として考えられます。

一方の中国では、ありとあらゆるジャンルのインフルエンサーが存在しているため、至る所でインフルエンサーの活躍が見られます。

アパレルや化粧品といったポピュラーな商品はもちろん、アウトドアグッズや車、おもちゃ、ヘルスケア用品など、多様なジャンルでインフルエンサーがプロモーションを実践している様子が伺えます。

インフルエンサーの起用に当たっては、自社商品やターゲットとの相性も考えなければなりませんが、中国であればほぼ確実に相性の良いインフルエンサーを見つけられるのが強みです。

中国で活躍する主なSNS

最後に、中国で多くのユーザーを獲得しているSNSについてもご紹介します。自社に合ったサービスを活用し、多くのフォロワー獲得に向けて動き始めましょう。

TikTok

TikTokは、数十秒の動画に対してさまざまな編集加工を施すことで、多彩な演出を盛り込み、共有ができるサービスです。中国発のサービスですが、近年は日本やその他の地域でもユーザー数が増加しており、今後の成長も期待されています。

映像やキャラクターを基調としたサービスであるため、感覚的な商品の認知度向上を進めたい場合に活躍します。

Weibo

Weiboは中国で最も利用されているサービスの一つで、日本で言うTwitterのような機能を備えているのが特徴です。

少ない文字数で情報発信を行い、日常についてのつぶやきや、トレンドニュースの共有や意見の発信に使われています。

簡単に情報を発信できる分、流行や大きなトピックについての話題を中心にユーザー間の交流が育まれており、口コミ情報もWeibo経由で発信されることが多いです。

企業アカウントとしてこまめなプロモーションも行えるため、現地ユーザーと交流しながら認知度を高めたい場合におすすめのサービスです。

WeChat

WeChatは、日本で言うところのLINEに近い機能を備えたサービスです。中国では最大級のメッセンジャーアプリとして広く普及しており、テキストチャットや通話など、豊富なコミュニケーションを撮ることができます。そのため、中国人とのコミュニケーション手段として、日本人や海外の人が利用しているケースも多いのが特徴です。

WeChatは通常のコミュニケーションに利用するだけでなく、QRコード決済機能やチケット予約サービスなど、さまざまな機能を搭載しているため、生活に欠かせないツールとしての役割も果たしています。

企業アカウントの運営もでき、広告配信も行えるため、中国でのライフスタイルに寄り添いながらプロモーションを展開したい場合におすすめです。

おわりに

今回は、中国の越境EC市場についての現状や、なぜSNSの活用が重要なのかについてご紹介しました。

中国は膨大な数のネットユーザーを抱えているだけでなく、今後もその数は増加していくと考えられます。日本企業の進出事例も増えてきているため、越境ECでの成功にはSNSの活用などの工夫も求められます。

自社のビジネスに最適なSNSの選定とビジネスプランの策定を進め、中国マーケットのポテンシャルを最大限活かしましょう。

この記事を書いたライター

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